今回は、塾講師をする上で必須ともいえる「わかりやすい教え方やコツ」についてお話していきます。
教え方やコツについての数あるポイントを、「話す」と「書く」というテーマに分けてまとめました。
塾講師としての仕事だけでなく、教える仕事、伝える仕事においても大事になるであろうポイントを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください!
この記事はこんな人にオススメ
- 生徒にうまく教えられなくて悩んでいる
- 塾講師歴が浅いので教え方のコツを知りたい
- 現役塾講師から話を聞きたい
「話す」ことの重要性
世の中にあるほとんどの「講師」という仕事は、話すことが重要になります。
塾講師ももちろん例外ではなく、話すことが仕事のメインになってきます。
塾講師においては
- 予習的に生徒が知らない内容を話す
- 間違っていた問題などの解説を話す
- やる気や勉強の方法など、解説以外の必要な内容を話す
など、仕事の重要な部分のほとんどは「話す」という方法をとります。
だからこそ塾講師の仕事では「話す」ということが何よりも重要になってくるのです。
さらに、しっかり話すことは他の仕事や副業にも活きてきます。
youtuber、企業の営業など、何をするにおいても話すことは最も強力な武器になり得るのです。
この重要な「話す」という行為について、以下から意識しておくべきポイントやコツをご紹介していきたいと思います。
「話す」のポイント:ゴールを設定して話す
1つ目のポイントは話のゴールを設定してから話すというもの。
プライベートな話ならともかく、塾講師として話すのであれば、話のゴールを設定することは必要不可欠です。
「話のテーマ」とも言い換えることができます。
これが設定できないと、講師の解説も熱いトークも「ただの長い話」になってしまうでしょう。
話し手に求められるのは聞き手の知りたい情報を把握して簡潔に話すこと。
人の話でもネット検索でも、何かを知ろうとするときには知る目標(ゴール)が設定されています。
その目標に沿わないと判断される内容は、受け手には「いらない情報」です。
生徒と密接な距離でかかわることができる塾講師という職業は、この目標に沿わない世間話をしてしまうリスクも高まります。
意識していなければ余計な情報を盛り込みすぎて、ただただ長い話をするだけになってしまうことも。
「話のゴールを設定して話す」ということは、解説にもその他のトークにも非常に重要になるポイントの一つです。
「話す」のポイント:説明と質問のバランスをとる
2つ目のポイントは「自分が説明する量と、生徒に質問する量のバランスを意識して話す」ということです。
場合によっては話す内容よりもこちらのほうが大事になることもあります。
塾講師がやりがちなミスとして、「話を聞いてくれる前提で話してしまう」というものがあります。
実際、様々な講演や授業では、聞き手はしっかり話を聞くことが前提になっています。
社会経験のある人間であれば、人の話は当然傾聴するでしょう。
しかし、塾の生徒はこのどれにも該当しません。
つまり、「話を聞いてもらえない可能性が高い」のです。
- 行きたくないけど親に行かされている
- 勉強したくないけど仕方がないから来ている
- そこまで勉強に対する意識が高くない
どのような塾にもこうした生徒は数多く在籍しています。
そんな生徒に対しては適度に質問を挟むことが非常に有効。
具体的には、自分が話す量に対して5:1程度の割合が好ましいと言われています。
質問された生徒は
- その質問に答えるために必要な情報を話や教材の中から探す
- 適切な回答になるようにその情報を頭の中で組み立てる
この過程が、勉強において非常に重要。
「勉強したくない」「話を聞いていない」という生徒でも、質問に答えようとするときにはしっかり頭を使ってくれるのです。
また、生徒とのコミュニケーションとしても機能してくれるでしょう。
言わずもがな、勉強に対する意識が高い生徒にもこの質問は有効です。
「ここまででわからない点はあるか」「こんな問題はどうやって考えるか」といった質問は、生徒の理解度の把握や応用力に思った以上の効果があるのでぜひ試してみてください。
聞いてもらえることが前提でない対話においては、質問の技術も重要になってきます。
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「話す」のポイント:信頼関係を築いておく
3つ目のポイントは「話の内容以前に、しっかりと信頼関係を築くことができる話し方をする」というものです。
塾講師として、ある意味一番大切なポイントになります。
信頼関係を築くことは
- 話を聞いてもらう
- 勉強に対するモチベーションを上げる
という2つの意味でとても重要なのです。
こんな場合あなたはどう思う?
例えば、自分自身が何かを人に教わる場面を想像してみましょう。
相手は自分より一回りほど年上の講師です。
しかし、どうも信用できない雰囲気があります。
よそよそしく、話のテンポも悪く、たまに間違った内容を話します。
なんとなく態度も横柄に感じられて、あまり好きになれません。
こんな人の話を、あなたは真剣に聞いて学ぼうと思うでしょうか?
話の内容はもちろん重要で、塾講師の仕事にはその正確さも求められます。
しかしそれ以前に、重要な話を聞いてもらうための土台となる信頼関係を普段の話を通して築く必要があるのです。
「話す」のポイント:信頼関係の築き方
生徒との信頼関係を築くためには以下の3つが大切です。
- 質問力
- 自己開示
- 安定したメンタル
順番に深掘りしていきます。
質問力
「質問力」は、生徒自身のことを知るために大切なテクニックです。
簡単なところでいえば部活や学校で勉強した内容、もっと信頼してもらうことができれば友人・恋愛関係の話や家庭での悩みを話してくれることもあります。
こういった情報を自分から話してもらう「質問力」は、信頼関係を築く上で必須です。
自己開示
質問力と同じくらい「自己開示」も重要です。
質問ばかりしてくる人間には、生徒もある程度距離を置いた回答しかしてくれません。
その距離は、生徒との信頼関係の度合いとほぼ同じものになるでしょう。
質問して相手のことを知り、それと同じくらい自分のことも知ってもらう、という信頼関係を築く必要があるのです。
安定したメンタル
「安定したメンタル」は生徒の安心につながります。
「この先生なら大丈夫」と思ってもらうためには、安定したメンタルが一番大切なポイントといっても過言ではありません。
「よく怒る」「いつも言っていることが違う」と捉えられる人は、当然信頼されることはないでしょう。
もっと身近な例でいえば、「メンヘラは信頼できない」のと同じです。
「書く」ということについて
当然ですが、人に物事を伝えるときに「話す」だけでは不十分。
話すだけで十分伝えられるという説や話を聞いたこと、目にしたことはあるかもしれませんが、それらはあくまで「人の心を動かすための方法」であって「内容を論理的に理解してもらうための方法」ではありません。
ものを売る営業では、その商品を論理的に説明することが最重要にはならないはずです。
「いかにして買ってもらうか」が重要であり、その内容や理論的な視点は要点になっていないからです。
塾講師として生徒に勉強を教えるには、営業トークではない別のアプローチが必要になります。その方法の一つが「書く」ということ。
まずは「書く」ということのメリットを紹介して、具体的な方法についてのお話に移りたいと思います。
「書く」のメリット:振り返ることができる形で残る
1つ目のメリットは「目に見える形で残る」という点。
学校の授業などを聞いている時「何の話をしているのかわからなくなった」ということが一度はあるのではないでしょうか。
集団指導でも個別指導でも、これは起こり得る現象です。
この時に、書いて残していれば「どこからわからないのか」「何がわからないのか」を生徒が自分で振り返ることができます。
書いておくだけで、自主勉にも授業の振興にも使える最適な資料が出来上がるのです。
「書く」のメリット:話すよりも理解しやすくなる
2つ目のメリットは「話を聞くよりも、書いてあるものを見ることで理解がしやすくなる」という点です。
もちろん話すことは大前提ですが、その内容を理解してもらえるかはまた別の話。
極端な例で言えば「哺乳類で、手足があって、黒い体毛が生えていて、胸をたたく姿が有名な生き物」と説明されるより、ゴリラの絵を描くほうが理解は早いでしょう。
勉強においても同じことは頻繁に起こります。
「y=2x^2のグラフは、原点を通る上に凸の曲線になって、変域を-4≦x≦4にするとこの座標でグラフが切れる形になるよ」と説明されてもイメージはわきませんよね。
でもy=2x^2のグラフについて、簡単に下記のような図を書くだけで、この情報をすべて目で見てわかる形にすることができます。
このように、「書く」ことは理解のスピードを速めるうえでも、理解を深めるためにもとても重要なのです。
「書く」ことのメリット:保護者に理解されやすい
3つ目のメリットは「保護者がノートや教材を見たときに、しっかり勉強していると思ってもらえる、勉強の進行を理解してもらえる」という点。
生徒の保護者の方の中には、かなり勉強熱心な親御さんもいらっしゃいます。
そういった方は、「自分の子供が何をどのように勉強しているのか」を気に掛けることが非常に多いんです。
ターゲットは少し変わりますが、このような方々には、しっかりと「書いている」という痕跡がないと「勉強している」ということすら理解してもらえず、最悪の場合は「指導力不足」という理由で退会されることもあります。
こういったトラブルを「書く」というだけで未然に防ぐことができるのです。
保護者の方へのフォローも塾講師の大切な仕事。
書き方について
続いて実際の書き方の注意点についてみてみましょう。
「書く」と一口に言っても、基本的には外してはいけないポイントが存在します。
個性が出ることには問題ないですが、多くの場合外すべきではないポイントもあるのでそれを3つに分けてご紹介していきます。
書き方:読める字、図を書く
かなり初歩的なことになりますが「読める字、図を書く」というのは何よりも大事です。
私の実体験をもとに、この理由をお話していきたいと思います。
以前、私の同僚に「字が汚い」ということで有名な講師がいました。塾側としても、クビにする、シフトを減らす以外の方法を取りたかったようで、字の練習のための講座や本を用意していました。しかし、ノートを見た保護者の方からのクレームが積み重なり、本人に注意し続けていましたが改善されず、最終的に自己退職してしまったのです。
私はその同僚と仲が良かったため、事の顛末をすべて聞かされていましたが、「塾側からの圧力は無かったが、自分自身もうそこまでして続けたくないから辞める」と言っていました。
わかりやすく教える以前に、自分の職を失うきっかけにもなるため、字のキレイさは注意しておくべきポイントでしょう。
書き方:文章にしない
2つ目のポイントは「文章にしない」というものです。
生徒に書いたものを読んでもらうためには、こうして読むことへのハードルを下げておくのがオススメ。
例として、高校生に二次関数について教えることを考えてみましょう。
文章で書く場合「平方完成した後、かっこの中の数字の符号を変えたものが頂点のx座標、定数項の部分が頂点のy座標になるよ」となります。
対して、文章にしない場合「y=a(x-p)^2+qで、頂点は(p,q)になる」と、これだけで済むのです。
どこが何になるのか、明らかに一目でわかりやすいは後者ではないでしょうか。
どのような場合でも文章にせずとも要点をまとめて、簡潔に書く力が必須といっても過言ではありません。
書き方:参考になるページなどの索引をつける
最後のポイントは「参考になるページや問題などの索引をつける」というもの。
その場しのぎの知識ではなく、生徒の自主的な勉強を促すための材料としてとても有効になります。
塾講師がやりがちなミスの一つとして、「自分の教え方が正しいと錯覚する」というものがあります。
このミスをカバーするためにも、参考になるものを記載しておくようにしましょう。
そもそも、物事に対する理解は人によって異なります。それはどのような立場の人間にも例外はありません。
学校の先生に説明されても意味が分からなかったが、友達に教えてもらったらわかった、という経験はありませんか?
昔はわからなかった割合の計算も、自分で買い物をするようになった今なら消費税などを通してできるようになっているのではないでしょうか。
こういった現象は、「理解の仕方やきっかけが人によって違う」ことによって起こるものです。
ポイント
「教える」という立場にいる期間が長ければ長いほど、自分の教え方が十分だ、と勘違いしてしまします。このようなミスを防ぎ、また生徒が自習するときの資料として索引を書いておくことはとても重要です。
まとめ
以上、塾講師としてお伝えする「わかりやすい教え方やコツ」についてまとめさせていただきました。
塾講師としてだけではなく、他の仕事にも活かせるものばかりなので、ぜひ生活の中で活用してみてください!
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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